春一番の強風の中、西武池袋線江古田駅から7分ほど歩いて、第51回武蔵大学公開講座「ヨーロッパの挿絵と絵本」に参加した。
会場に着いて驚いた。300人近い人が集まっている!20代女性もいれば、70代とおぼしき男性もいる。
流石に若い男性はほとんど見かけない。テーマが絵本だし、平日の昼間だもんね。
男女比は、25対75といったところか・・・圧倒的に多い熟年女性の中に紛れ込んでいく。
5日連続、毎2時間の講座である。全参加できるだろうか?ガンバレ私♪
第1回のテーマは「フランスの絵本と外国語教育」。
講師は、絵本を使ってフランス語の中級講座の授業をなさっているという西村淳子教授である。
学生たちが個々に自分で選択した絵本を訳し、クラスの皆の前で発表するというスタイルらしい。
絵本は、言葉をそのまま訳せばいいというものではないと思うから、その人の経験やセンスが出てくるだろうな。
自分で訳すのも楽しいだろうし、人のを聞くのも楽しそう♪
私も学生時代にそんな授業を受けたかった。そうしたら今頃はフランス語の片言でもはなせたかもよ?!
と言うのも教授の「外国語を学ぶことに意識を向ける・外国に文化に目を向ける・複眼的な視点・価値観を持つ大切さ」を学生に楽しく体験させたいという生き生きとした情熱が伝わってきたからだ。
それに何より、教授自身絵本が大好きらしい。
そんな授業で学生たちが読んだ本の中から、9冊程スライドで紹介してくれた。
【1】「ロバのトロトロ」シリーズより『トロトロの怒り』
【2】「リサとガスパール」より『リサにはシラミがいる』
【3】ラ・フォーンテーヌ『寓話集』
【4】『オレンジ牛』
【5】『イグナール・ド・バルバリー』(野蛮国の無知伯爵)
【6】『ニノにとって本当のことってなあに?』
【7】『サミラのパパとママが離婚する』
【8】『恋するワニ君』
【9】『コッチとアッチ』
1冊づつ丁寧に内容を語ってくださったが、その中で特に私の印象に残った【3】【6】【8】の3冊について、詳しく書こうと思う
【3】ラ・フォーンテーヌ『寓話集』
フランスの古典的寓話集。ラ・フォーンテーヌ(17世紀の詩人)が、イソップ物語などから取材して、人間の本性やモラルについて240余りの話を書いた。その中から現代のイラストレーター30人が、30の物語にそれぞれ絵を描いたもの。1作毎に雰囲気が変わって楽しい。これだったら辞書を引き引き、自分で読むことにチャレンジしたくなるかも♪と思った。
【6】『ニノにとって本当のことってなあに?』
留守番をしていたニノは、花瓶を割ってしまう。本当のことを言って罰を受けるべきか、嘘をついて心に重荷を背負うべきか?
パパの作った夕食は美味しくなくても「皆で美味しいということにしましょう」とママは言う。
それだって嘘じゃないの???・・・と少女が哲学する話。
【8】『恋するワニ君』
キリンちゃんに恋するワニ君の話。
身長差を越えようとするワニ君の姿と発想が可愛い♪♪
私自身、子育て中に多くの絵本を読んだ。外国作品にも多く触れた。
そんな経験から、絵本の中にもその国々のエッセンスが入っていると何となく感じていた。
今回、講座を受けて改めてそう思った。が、それが何なのか・・・言葉で表現できる状態にはなっていなかった時に、西村教授が「フランス語とは、哲学を語ると同時に恋を語る言葉である」とズバリとおっしゃた。
そうだ!
絵本には、その言語を使う人々の関心事が投影される。フランスの絵本では、哲学する子供がでてきたり、離婚問題に直面する体験が語られたり、恋心をテーマにしたりする。
「フランス語とは、哲学を語ると同時に恋を語る言葉である」
では、日本語は何だろう・・・省略が多いことにヒントがあるかな・・・
様々なことに思いをはせ、2時間があっという間の初日だった。