武蔵大学公開講座2日目。
昨夜、初日の講座の面白さを家人に熱く語っているうちにお酒の量が進んでしまった・・・『2日目に2日酔いだ〜〜〜』。
眠い・・・MDは必須。しっかり2枚カバンに入れて出かける。(寝る気マンマンではなくて念のためよ)
受付でA3程度のカラー用紙を1枚渡された。
「今日の資料?えっ!これだけですか!」
「はい」
「そうですか・・・」
昨日の資料の量との差に戸惑いながら・・・私の目は渡された絵に釘付けになってしまった。
絵柄と色使いが独特。フランス的ニュアンスが凝縮されている感じ。
土臭くてくどいが・・・嫌いではない。
二日酔いの頭と感覚に飛び込んできた絵。
不思議な気持ちのまま席に着いた。
今日のテーマは「エピナルの挿絵と子ども絵」講師は比較文学が専門の小山ブリジット教授である。
ところで「エピナル」って何?この不思議な絵のこと???
おそらく純粋なフランス人であろう教授が流暢な日本語で話し始めた。
「エピナルは、フランス北西部ロレーヌ地方ヴォージュ県にある町です。パリから東にあり、ドイツとスイスの国境に近いところです。」(町の名前ね。いきなり疑問解決♪)
説明は続く。
「エピナルは、森林が多く、昔から製紙産業が盛んで、18世紀に入り、フランス版画の中心地となりました。そして、エピナルの版元のペルラン(Pellerin)が、刷り始めた民衆版画をエピナル版画と言います」
そして、18世紀頃の絵を始めに次々とスライドで紹介してくれた。
【1】宗教的な絵・・・魔よけの意味を込めて、聖人の絵をお守りとして子どもに持たせた。→その後、道徳的な絵になっていった。
さらに19世紀に入り、木版画の技術がリトグラフへと進化すると、ニュースや広告が印刷されるようになった。
【2】ナポレオン3世の結婚したときの絵を印刷したもの。
【3】戦争の絵など、ニュースの代わりに印刷。必ずコメントを載せたらしい。
【4】パリ万博の広告。
19世紀の子どもむけには
【5】子供向けの文学や童話の挿絵などを印刷するようになる。(例:アリババ)吹き出しを使わないで、文章を書き込むスタイル。
【6】文字など子どもが暗記しやすいように挿絵を利用した。
【7】男の子向け・女の子向けのものが多く観られるようになった。
【8】楽しい話がいっぱい印刷された。
子ども以外にも
【9】男性への教訓=「女性を大切に!家事・育児をしましょう!」というような内容を表現した挿絵。
【10】歌のための挿絵。
【11】広告の為の挿絵。
【12】バイリンガル用の挿絵。
【13】アルファベットを覚えるための挿絵。
「…以上、見てきたようにエピナルの挿絵は、字の読めない人々や、農民の子どもにもわかるようなものです」
小山ブリジット教授が、ひとつのまとめを語った。
それからは、同時代の日本=江戸時代から明治時代に流布した日本の「遊び絵」「おもちゃ絵」とエピナル絵との比較して見せてくれた。
【14】物ずくし絵「鳥や魚」などのビジュアル辞典といったような物。フランスの挿絵はリアルで、日本のそれはどこか可愛らしい。
【15】日仏の「すごろく絵」。
【16】日仏の判じ絵(なぞなぞ絵)。
【17】日仏の上下絵(顔の絵を逆さにすると別の顔が描かれているというもの)例:笑顔のお爺さんの顔を逆さにすると怖い鬼の顔になる。
【18】日仏の影絵(指で鳥や蝶をつくりふすまなどに影を作る遊びを絵にしたもの)フランスにもあったなんてちょっと驚いた!
【19】日仏の着せ替え人形の絵。日本の着物の絵は、表だけでなく裏の絵もあって、きめ細かく美しい♪
【20】日仏の操り人形の絵。ようやくここで、受付で受け取った絵が登場!待ってました!パチパチ♪教授は、切り取った人形を1体のみ見せてくれたが、私には印刷された手足の数が多い?気がしてならない。早く自分で切って確かめたい!!!以後、この絵が気になりっぱなしだった。
【21】日仏の組上げ絵(切り取って、組上げ乗り物や建物を作るという絵)。
【22】日仏の演劇関係の絵。
【23】日仏の風景の絵。
【24】日仏の壁画(大きな絵)。
スライドを思いながら、この文章を書いているのだが、実は【22】【23】【24】の絵は覚えていない。
眠っていたわけではありません!
【20】の操り人形と手足の数が気になり、合わせていたからだった。
家に帰り早速切ってみる。ラインが細かいので、すべて切り終えるのに2時間かかった。子ども向けとは思えない。
切り終わり実際に組み合わせてみて、手足が多いと感じられた理由が解った。肘・膝の関節の部分で曲がるように別々に印刷されていたのだ!
そうか。日本の絵だと手足は、その付け根から指先まで1本でつながったまま印刷されていることが多いので、関節でわけるということがすぐにイメージできなかたのだ。
実際に並べてみると、絵に表情が生まれ愛らしい♪他の人形の手足をつけてみても面白い!
そんな訳で、何枚も写真を撮ってしまった2日目であった。